武田道修町ビル(旧武田長兵衛商店本店)
久しぶり!船場レトロビル探訪シリーズ。
■武田道修町ビル(旧武田長兵衛商店本店)
■設計:片岡建築事務所(松室重光)
■竣工:1928(昭和3)年
■RC造・地下1階/地上5階(増築あり)
1781年、のちの武田製薬の祖である武田長兵衛が、この道修町で和漢薬の仲買業を始めました。
時は流れ、五代目武田長兵衛が「武田長兵衛商店」から、1925年(大正14年)1月29日に「株式会社武田長兵衛商店」を会社設立して法人となりました。そしてその本店として1928年に建てられたのがこのビルです。いわゆる武田薬品の旧本社です。
※ちょっとした小話ですが「長兵衛」の名は武田家当主が代々襲名していたため、六代目まで続いたそうです。1980年という、まぁまぁ最近まで続いていた慣習というので驚きました。有名な話なんですかね…。
表側に見える地上3階建ての部分は当初から建てられたもので、4・5階部分は後々増築されたもの。
華美な装飾もないのでいかにもなレトロ建築ではなく、ほかの船場のビルに多く見られるスクラッチタイルも使用されていません。レンガ色のタイルは落ち着いていて荘厳なイメージをたたえます。設計者の松室重光は他の建物では古典様式を多く取り入れていましたが、このビルに於いてはあえて硬派に攻めて渋みを利かす狙いだったようです。←と言うのは勝手な私の憶測ですスミマセン
2013年には耐震補強工事を終え、薬に関する資料館として一般開放されている、現役バリバリの建造物です。
一件見落としていまいそうなほど街並みに馴染んだレトロビル。どーんと構えた姿にはたしかにオーラがありますので、お近くをお通りの際はぜひ見上げてみてくださいませ。