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綿業会館


■綿業会館

■ 大阪府大阪市中央区備後町2丁目5−8

■竣工:昭和6年(1931年)12月

■構造:SRC造6階建・地下1階・塔屋付

■設計: 渡辺節建築事務所(渡辺節、村野藤吾)

■施工:清水組(現・清水建設)

大阪船場探訪シリーズ。本町駅にほど近いところにある綿業会館です。

東洋紡績株式会社の専務取締役(現東洋紡株式会社)岡常夫氏の巨額の遺贈金100万円と綿業関係者の寄付によって集められた資金50万円をもとに建てられました。現在の貨幣価値で75億円!日本綿業倶楽部の施設として今日まで利用されています。

2003年12月25日に国の重要文化財に指定され、2007年には近代化産業遺産に認定されました。

オフィスビルの立ち並ぶ備後町の十字路に、突如として現れる巨大な建築。本当に大きいです。もちろん住友ビルディング(1926年)や旧三井銀行大阪支店(1936年)やなどの財閥系が絡んだ大物に比べると規模的には見劣りしますが、それでもスマホカメラの画角に収まりきらないほど!これだけお金をかけたらこんなに立派な建物が建つんだなあと感心させられます。『綿業』会館と言うだけあり、繊維業の栄える船場のシンボルとして長年街を見守ってきました。このすぐ近くにはシキボウやユニチカの本社、船場センタービル、丼池ストリートと言う名の繊維問屋街などがあります。まさに綿業で栄えた街です。

設計を手掛けたのは後に大阪建築士会会長を務めた渡辺節設計。若き日の村野藤吾も腕をふるいました。

外観はあえて虚飾を排し、落ち着いた印象を漂わせていますが、内部は細かい部分にまで拘りぬいた豪華な造りとなっています。この建築施工管理技士の最大の特色はなんといっても貴賓室や会議室など各室ごとに異なる様式を内装に採り入れていること、そして重厚な調度品と言えるでしょう。具体的には、貴賓室はクイーンアンスタイル、談話室はジャコビアンスタイル、会議室はアンピールスタイル…といったような具合です。

竣工以来、ここには国の内外を問わず多くの賓客が訪れました。

国際会議でも多く使われたのはもちろん、一番有名なエピソードとしてはリットン調査団の一行がもてなされたことでしょう。他にも海外からの産業視察団や、国内では皇族や政治家など、数え上げればきりがないほど数々華やかな晩餐会がこの場所で開かれました。

現在は日本綿業倶楽部(※昭和3年から存在する会員制の倶楽部。社会的・文化的活動に関する事業を通じて社会発展を目指す活動と、綿業会館の保存を目的とする)の会費とテナント入居者の賃料から運営されており、自治体に頼らず、自らの力で自立する文化財として成り立っている、立派な生きた建築です。

1945年の大阪大空襲では周囲が壊滅的な被害を受けたのに対し、その頑丈な作りからほぼ被害を免れて無傷だったそうです。SRC造というのは当時ではたいへん珍しかったのに加え、窓の開口部にフランス製の耐火ワイヤーガラスを使用したことも功を奏したのでしょう。

身近な場所に存在する、歴史と格式をたたえた建物。内部ツアーに加えて、かつてリットン調査団ももてなされた部屋でランチもいただけるようです。コロナ禍が過ぎたら是非私も行ってみたいと思います。

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