企業インタビュー

INTERVIEW 04
北和建設株式会社 松尾 隆広 様 代表取締役 社長執行役員

松尾様プロフィール

1984年4月 東急不動産株式会社 入社
2007年4月 同社 住宅事業本部情報開発第二部 統括部長
2011年4月 同社 ビル事業本部プロジェクト開発部 統括部長
2013年4月 同社 住宅事業本部商品計画第二部 統括部長
2014年4月 同社 首都圏住宅事業本部マンション事業第一部 統括部長
2017年4月 北和建設株式会社出向 代表取締役 社長執行役員 就任

強固なバックボーンと社員の誠実さを武器に、京都のリーディングカンパニーを目指す。

北和建設様は2016年11月に東急不動産ホールティングスのグループ会社になられました。グループ入りにはどういった意義や目的があったのでしょうか。

東急不動産ホールティングスグループには賃貸住宅の管理運営を行っている東急住宅リースという会社があり、約10万戸の管理物件を扱っていました。一方、北和建設の親会社である学生情報センター(以下nasic/※全国で学生専用マンションを開発・運営する企業。北和建設が1988年に設立。)は、学生専用マンションを約4万戸管理運営していました。これを取り込むことで相乗効果が生まれるのではないか、また従来の顧客層に学生を加えることで将来の顧客を拡充していきたいという思惑がありました。

もう一つは、今後学生が減っていく中で、大学とのパイプを活かし、大学キャンパスの有効活用事業に繋げていけるのではないかという思いもありました。東京では上智大学の敷地内にテナントビルを作ったりしていますが、ああいった形の有効利用の需要増を見越した部分もあり、nasicとともに北和建設もグループ入りすることとなりました。

松尾様が東急不動産様から北和建設様にこられて感じられたこと、想い、また使命などをお聞かせください。

まず今回のグループ入りで、東急不動産ホールティングスグループという大きなバックボーンができました。

また私自身がデベロッパーの仕事に長年携わってきた経緯から、多くのデベロッパーとの横のつながりを持っていたため、顧客層の幅を拡げることができました。この二つの強みをもってすれば、この会社はまだまだ伸ばせると感じていました。
私が北和建設に来る3か月前に作成された中期経営計画を見直し、当時は売上高50億円程度だった会社を80億円までは伸ばせるだろうということで上方修正し、それは昨年度に達成しました。そこまでは順調に来たと思っています。

ただ、ご存知の通りコロナ禍により旅行者が激減し、予定していたホテル案件がなくなってしまったために今年度は売上を落としてしまいましたが、2025年を最終年度とする次期中期経営計画では、昨年度到達した80億円までは売上を戻そうという目標を立てています。案件も徐々に増えてきていますので、着実に伸ばしていきたいと考えています。

近年の手掛けられる物件の用途の傾向などをお教え願えますか。

基本的に当社は前述のnasicが管理運営する学生専用マンションが用途としては一番多いです。それ以外では一般の賃貸マンションで、年度によってばらつきはありますがやはり住宅の比率が高いですね。

具体的には、個人の方や企業の所有する土地の有効活用、あるいはデベロッパー事業としての学生専用マンション、一般向きの賃貸マンション、それ以外では事務所ビル、工場、倉庫、幼稚園なども施工してきました。また、私が北和建設に来る前ですが、スーパーゼネコンや中堅ゼネコンと一緒に大学の校舎の建設にJVで携わったこともありました。また、老健施設や福祉施設なども手掛けており、幅広い用途の建築物を施工しています。

今後チャレンジしていきたい領域としては、まだ需要が増える物流施設を積極的に手掛けていきたいと思っています。

施工される物件は、どれくらいの規模でしょうか。

用途によってもちろん違いますが、当社の案件は、大きくて15億円位です。延べ面積で言うと、だいたい5000㎡くらいですね。あとは京都では小規模の工事が多いので、2~3億円程度の工事も手掛けています。現在ターゲットとしている工事規模は、東京では10億円前後のもの、地元京都では5~10億円くらいのものを中心に受注していきたいと考えています。

幸いなことに当社はnasicの仕事をやっていたおかげで、東京・名古屋でも各々のエリアでそれぞれ70~80棟くらいは建ててきています。京都以外でも実績を積んできたおかげで、京都で工事が減ったとしても東京・名古屋でカバーできる。そういう形で3つのエリアで受注できるというのも他社にはない強みだと思いますね。

松尾様が考えられる今後の建設業界の景況感や、それに対する北和建設様の在り方などをお教えください。

このコロナ禍で落ち込んだ建設需要は多少は回復していくでしょうが、今後も受注競争の厳しさは続くと思います。また、資材の高騰もしばらく落ち着かないでしょうから、厳しいマーケット環境が続くでしょう。そんな中で北和建設が勝ち残っていく術としては、他の京都のゼネコンに比べると幅広い顧客層を持っているため情報をいち早く多く取得できるという強みを活かすことだと思っています。

たとえば用地取得の段階で、一年先、一年半先の着工物件が情報として来たりするわけです。そういう先々の物件情報まで沢山集めておけば、人員計画に基づいて選別した受注ができます。物件情報が少ないと、どうしても後追いで厳しい競争の中で受注しないといけなくなるのですが、早い段階で情報を入手しておけば選別した受注ができます。そういう形で他社よりも先行して情報を多く集めて選別受注に繋げていきたいと考えています。

その点についてもnasicとの協業というようなことがあるのですか?

もちろんnasic側から情報をもらうことも多いです。彼らが、デベロッパー、個人オーナー、企業などから、土地の有効活用として学生専用マンションもしくは賃貸マンションを作りたいという相談を受けた時には当社に話が来ますので、nasicも先程の「幅広い顧客」のうちのひとつと言えますね。

独自のネットワークをお持ちなのは大きな強みですよね。そこを活かして、売上を回復していかれるご予定だと。その先…、気の早い話になりますが、2030年ごろまでの展望も描いていらっしゃいますか?

先程申し上げたのは2022年から2025年までの中期経営計画ですが、それに先行して2030年までの長期経営方針も作っています。そこではあまり数字に重きを置いていませんが、イメージとしては売上を100億円くらいまで伸ばして品質も伴う形で、京都を代表するような建設会社にできればと考えています。社内でも「質・量ともに京都のリーディングカンパニーを目指そう」と。高い目標ではありますが、全社員が一丸となってそこを目指そうと頑張っています。

北和建設様の強みや、目指される姿などは良く理解出来ました。逆にここは改革すべき点だなと感じられた部分はありましたでしょうか。

まずは北和建設はこれまで前オーナーが強いリーダーシップを持って拡大をされてきたわけですが、一方でいわゆるトップダウン型の会社ではありました。そこからいきなり一部上場会社のグループ入りをしたために、社員が自ら考えて自ら改善していくことが苦手な社員が多かった印象です。それを変えていく意識改革が必要と感じました。

自分達で考えていこう。自分達でこの会社をどういう方向にもっていきたいのか考えよう。という社員主体の思考には、最初かなり戸惑いがあったように感じます。

ですが、本当に社員が真面目で、誠実に耳を傾けてくれたので、かなり意識が変わってきたと感じています。そういう意味で私は本当に恵まれていたなと思います。

松尾社長がお越しになられてどうですか。雰囲気は変わられたのではないですか。

社員A様:そうですね、ガラっと変わりました。それまでは、部下がいくら考えても上司にダメと言われると中々話が通らなかったので、自ら考えるという風土がありませんでした。それが社員主導で進めていこうという雰囲気になったので、そこは本当に大きく変わったところだと思います。

ほかにも人事制度・評価制度、休日休暇の日数が増えたなど、制度面の変化はあるでしょうか?

一部上場企業のグループ入りをしたこともあり、やらなくてはならないことが沢山でてきました。

規程類の整備、BCP(事業継続計画)、人事評価制度の見直しなど多岐に渡ります。等級制度の見直しに伴う給与の改定や公休日を増やすなど労務環境の改善にも取り組んできましたが、まだまだ道半ばですので引続き改善に努めていきます。

その他、なにか積極的に変えられた部分はおありですか?

大手設計事務所のOBを技術顧問として建築担当、設備担当で2名採用し、またスーパーゼネコンで定年を迎えた方に入社頂き施工規準書を作ったり、設計担当を採用したりと、外部から人材を入れて体制を整備してきましたので、かなり改善されてきたと思いますね。ただ、まだまだと感じるところもあり、更に良くしていきたいと考えています。

これも変革の一部とも言えるかと思うのですが、BIM推進室を立ち上げられたということもお伺いしました。実際のそのあたりの取り組みについてお聞かせ願えますか?

※BIM=Building Information Modeling(ビルディング インフォメーション モデリング)
コンピュータ上に作成された3次元の建物モデルに様々な情報を追加したものを指す。建物に関する多様な情報を1本のデータで管理できる。

社内に設計部門がなかったため、内製化したいと3名設計経験のある方に入社してもらいました。そのおかげで設計部門ができ、その内の2名がBIMを使えたということで、単に設計図面をBIMで描くようになってきただけでなく、顧客に対して3次元の立体的な図面で解りやすくプレゼンできるという強みができ、同規模のゼネコンとの差別化が図れたと思います。

これからBIMを積極的に推進していくという意気込みを込めて、担当部署名を「BIM推進室」にしました。対外的にもアピールでき、受注にも繋げられています。

社内でもそのBIMの活用は進んでいらっしゃるのでしょうか。

設計では既にBIMで図面を描き始めています。ただ現場での施工図面はまだ難易度が高く現場にいる全員がBIMを使えないと活用はできないため、現在社内講習会にて皆に勉強してもらっています。

将来的にはどの現場でもBIMを使えるようにと考えていますが、BIMはマスターするのに時間がかかるため、大手でもなかなか普及していないのが現状です。

だからこそ、それが先述の差別化に繋がるので、是非伸ばしていきたいと思っています。

その京都のリーティングカンパニーを目指すにあたり、どういった方と一緒に働きたいかなど採用にあたっての希望はありますか?

私が北和建設に来て感じたことですが、社員がみんな非常に真面目で意欲的なんです。本当に一所懸命働いています。この会社はすごいなと。

社員が真面目で誠実で、非常にいい会社だと私は思っていますし、まだまだ伸びる要素を十分持っていると確信しています。

最近は希望する人が少なくなってきていますが、建設の仕事は、夢を形にするという大変魅力ある仕事です。そういう意味では、やっぱりこの業界に入ってくる人達はそれなりの志を持った人達だと思います。明確な目標を持ってこつこつと努力ができる人が建設業界には向いているので、そういう方に是非当社に来てもらいたいと思います。

それでは最後になりますが、御社で働く魅力についてお聞かせください。

冒頭にお話しした通り、nasicグループということで安定的な学生マンションの建設需要が見込めるということ。そして、東急不動産ホールディングスグループという大きなバックボーンを得たということ。同時に、多くのデベロッパーという顧客層を得たために、他社に比べてかなり幅広い顧客層を持つことができたということ。この三点がまず強みであると思います。

あとは、他社に比べて社員が働きやすい環境作りに取り組んでいますので、そこは他社にはない魅力だと思います。まだまだ道半ばのところはありますが、労働環境の改善というのは業界の永遠の課題なのでそこは他社に先行して改善していきたいですし、待遇面でも改善していきたいと思っています。

また、建設業界もBIMを含めてこれから加速度的にDXが進んでいく中で、当社は大手に比べ時間はかかりますが、同規模程度のゼネコンの中では「北和さんは進んでるよね」と言われるような会社にしていきたいと思っています。
また、先程お話ししたBIMを積極的に導入していくことで、生産性を上げるとともに、他社との差別化も図れるので、ぜひそこを伸ばしていきたいです。

それと、一緒に働く社員についてですが、真面目で誠実で本当に素晴らしい社員ばかりで、皆一所懸命仕事に取り組んでいます。私自身もそこが一番の当社の強みだと思いますし、成長できている要因だと思います。
京都のリーディングカンパニーを目指して、是非一緒に仕事を出来ることを楽しみにしています。

(インタビュー:北野惣子)

COMPANY
北和建設株式会社
創業 1975年11月
設立 1979年5月
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■事業内容

1975年京都にて創業した、地元京都を中心に東京・名古屋に支店を構えるゼネコンです。全国にて「nasic」ブランドで学生マンションを開発・運営する「株式会社学生情報センター」の前身となった企業でもあります。2016 年11 月には東急不動産ホールディングスグループの一員として新たなスタートをきりました。