企業インタビュー

INTERVIEW09

大日本ダイヤコンサルタント株式会社 齋藤 哲郎 取締役 専務執行役員 技術本部長

橋梁・地質調査をワンストップで手掛ける唯一無二の建設コンサルタントへ

齋藤様のご経歴を簡単にお聞かせください。

1985年に入社しました。
当初から、橋梁畑で構造物設計の部署に配属されました。それ以来ずっと橋梁、特に道路橋の計画、下部工・基礎構造の計画・設計が主な担当業務でした。
統括部長を経て、昨年技術本部長に就任しました。

齋藤様が今まで携われた業務で一番思い出に残っている業務を教えていただけますか?

入社当初に携わった多摩川の橋梁設計業務が印象深いです。
当時、多摩川中流部には昭和一桁ぐらいに架橋された橋梁が5本ぐらいあったのですが、車線が少なく渋滞が頻発していたため、それを解消すべく5本の橋を一度に架け替える業務でした。
5本の橋をそれぞれコンサル5社で担当し、弊社と他4社が同時に業務をスタートしました。
交通を遮断することなく上下線の2期分割による施工としなければならないので、とても複雑な計画でした。
河川流水部に位置する橋梁基礎は、ニューマチックケーソン基礎工法という工法を採用したのですが、その詳細設計を初めて経験したり、勉強になること多かったです。

新入社員の時に初めて現地調査に行き、その後、担当、主担当として業務に携わり、最後は管理技術者を務め、最終的に橋梁が完成したのは20年後のことでした。私はこのプロジェクトに予備検討から詳細設計まで担当することができ、インフラ整備事業に使命感を感じていましたし、完成した時の達成感はとても大きかったです。

テレビCMなどでその橋が時々映る時があってその時はすごく嬉しいです。

あと、1998年長野冬季オリンピックのインフラ整備のために発注された橋梁設計も印象に残ってします。長野市内で同時に複数のプロジェクトが進行していたため、スケジュール的にも大変な仕事でした。
国の発注と長野県発注の仕事が輻輳し繁忙を極めましたが、みんなオリンピックを成功させようと一生懸命に取り組み、発注者側も我々設計部隊も受注した施工業者も、良いものをつくろうと努力を惜しまず設計作業に従事しました。
オリンピック期間中、中継でちらっと設計した橋梁が映ると達成感を感じました。
その頃が私の橋梁設計技術者(主担当者)として最もやりがいを感じていた時期だったと思います。
技術士の試験では、長野オリンピック関連の橋梁設計で工夫した内容を経験論文に書いたので、思い出深い業務です。

2023年にダイヤコンサルタント様と合併される前の「大日本コンサルタント」様時代は、道路・橋梁に長けている建設コンサルでしたが、地質分野が得意な企業と合併をされたことによる相乗効果はありましたか?

日経コンストラクションの建設コンサルタント会社ランキングで、旧大日本コンサルタントは、鋼構造及びコンクリート分野で売上断トツのトップを維持しています。
旧ダイヤコンサルタントは、地質分野で売上トップクラスです。過年度までは第1位です。
旧大日本コンサルタントにも地質関係の部があるのですが、旧ダイヤコンサルタントは、地質関係の解析や知見なども豊富ですし、試験施設も保有しています。
特に地質リスクについては長けているので、その内容を旧大日本コンサルタントの設計技術者が把握し、設計に反映することができます。
例えば、 橋梁設計するにあたり、地質調査は今まで以上に自社でできるようになりました。これは他社では中々できないことです。
旧ダイヤコンサルタントの強みである地質リスク評価を反映した設計・計画による高い競争優位性を保持し、コア事業で業界トップクラスの技術の融合により、一歩進んだ期待以上の品質の成果品をお客様に提供できる唯一無二の会社であると思っています。

会社の魅力を教えていただけますか?

今、学生の採用面接をやっていますが、インターンシップで訪問した他社と比べて、弊社の方が若手社員と上司のコミュニケーションが活発で質問しやすい雰囲気あるのが魅力だと言ってくれています。
また、私が新入社員の頃、上司に「チェックしてこんなこと気がつきました」と伝えると「齋藤君、よく気がついたな」とすごく喜んでくれたのを覚えています。
会社の気質というか、若くてもベテランでも同じ技術者として見てくれているというのは会社の魅力なのかなと思いますね。

近年のDX推進についての取り組みについてお聞かせください。

DX推進については、本社・各支社を含め各部署でバラバラに進めてる現状があるため、当社のDX推進の方向性をきちんと定める準備を進めています。
現時点で取り組んでいる内容は、一部ですが、BIM/SIM推進、3次元地質モデル作成、管理分野でのRPA活用、教育動画提供システムの導入、自社用ChatGPTの提供、等があります。
また、外部から学識経験者に来ていただいてDX戦略、DX人材育成、生成AIの動向等をテーマに講義をしていただいたりもしています。
なお、弊社にはインフラ系の技術研究所があり、AIを活用した研究開発を行っています。個人的には、長年に亘って蓄積されたミスの情報をAIに学習させて、“これからやる仕事についてはこういうことに気をつけよう”とミスの予測に役立てることで、品質向上につなげたいですね。

今後の事業展望はどのようにお考えですか?

やはりインフラ整備というのは人々の生活に不可欠な事業ですので、継続してやらなければならないですし、我が社の使命だと思っています。
特に、高速道路橋の床板取替設計や耐震補強設計は継続して受注していきたいです。
また、洋上風力発電分野にも力を入れていきたいと思っているので、現在、洋上風力発電用の地質調査も行っています。今は輸入に頼っているタワーですが、鋼管による合理化構造で代用できないか可能性を検討しているところです。

新たな事業ということでは、再生可能エネルギーなどの脱炭素分野、包括管理などの事業マネジメント分野、自衛隊施設関連分野に注力しています。
特に、今、自衛隊基地の建物や設備が老朽化しているので、 自衛隊の基地自体をリニューアルするためのマスタープランを作っています。
建物自体も全部変わりますし、そのための上下水道や、道路など、それに関わるインフラが全部更新する必要があるので、地質調査も含め、大きな仕事になってくると思います。

それと、Park-PFIで、「飛鳥山公園魅力向上事業」に取り組んでいます。
これは東京都北区が公募した事業で、飛鳥山公園の一部エリアにレストランやコミュニティスペースなどを建設・運営するという弊社の提案が選定されました。
弊社が建設した施設を20年間運営し、その収益の一部を公園に還元するしくみです。
飛鳥山公園のPark-PFI事業は、規模が小さいほうですが、今後もこの取り組みを広げていきたいなと思っています。

また弊社は長大橋の設計技術を保有しています。気仙沼港や川崎臨港道路の斜張橋とか、大阪湾岸道路の斜張橋を手掛けています。今後、国内でこのような大型案件はおそらく出ないので、長大橋の設計技術を継承するためにも、海外の長大橋プロジェクトに携わっていく事が必要だと思っています。
現在、東南アジアの現地の技術者に補修・補強の技術教育も行っています。

積極的に採用したい、こういう方を採用したいという人物像などをお聞かせください。

人には個性がありますよね。その個性を歯車に、得意分野を歯車の歯に例えます。
例えば「私は橋梁の基礎構造に強い」とか、「地質の分析が強い」とか、「計画系が強い」とか。皆、技術者は専門とする得意な歯(得意分野)を持ったデコボコの歯車だと思うのです。そのデコボコの歯を持った複数の歯車を噛み合わせて、仕事がうまく回るようにするのが組織管理者だと思っています。
新入社員には、何でもいいから得意な歯を持った歯車になれと言っています。 中途採用で来る方は、ある程度その得意な歯を持った個性のある歯車であると思っています。
その個性のある歯車から、さらに違う歯も伸ばしてもらって、新たな得意な歯を持った成長した個性のある歯車(技術者)になってもらえればいいかなと思っています。
弊社に入社される中途採用の方については、例えばメーカーさんから来ると、建設コンサルタント会社ではあまり役に立たないのではと思う方がいますが、 そうではありません。例えば、この設計で、工場製作が可能か否か、現場で架橋できるかどうかなど 、現場に立ってきた人と設計を得意としている我々とでは持っている知識が違うので、技術的なことも遠慮なく提案して欲しいと思います。
なおかつ、活躍の場を広げていただければ良いと思っていますので、そういう志を持っている方に入社していただきたいです。

能登半島地震においての緊急調査に貴社が技術者様を派遣されている記事をニュースで拝見したのですが、緊急時においての取り決めのようなものがあるのですか?

災害発生時に災害対応プロジェクトチームを編成するルールがあります。これに則り、1月3日に「災害対策本部」を設置し、全社に「災害対策活動」を宣言しました。
災害復旧事業監理部長を頭に、3分野の統括部長が全社調整を行い、各支社からチームで技術者を迅速に北陸に派遣しています。
具体には、地質調査を専門とする国土保全分野の部署が一番先に動きました。
その後、橋梁・トンネル他緊急点検、道路状況調査、土砂災害危険箇所調査、応急復旧道路・橋梁設計、査定~設計に必要な地質調査 等を全社対応で実施しているところです。
また、今回初めての試みがありました。震災の対応で被災した能登町に、日本 アセットマネジメント協会(JAAM)に加盟している大手コンサルタント会社数社が、リレー形式で連係して技術者を現地に派遣し、能登町の町役場の技術者の代わりにインフラの被害調査などに当たりました。町の技術系職員が少ないので、今後こういった形で我々コンサルタントが技術支援する出番が多くなると思っています。

最後に、貴社を志望する方に向けてメッセージをお願いします。

2023年7月に、橋梁設計に強みを持つ大日本コンサルタントと、地質調査・解析に強みを持つダイヤコンサルタントが合併し、大日本ダイヤコンサルタントが誕生しました。合併により、両者の強みが融合して、調査から設計、維持管理までワンストップでの対応が可能な唯一無二の会社を目指しています。
また、合併により、会社はさらに「大きな集団」となり、新たなイノベーションを生みやすい環境になりました。
2社の合併後のイノベーションをもたらすのは、「集団脳」と呼ばれる人間の進歩の力です。お互いの会社は60年余りに亘り目まぐるしく変化する社会情勢、受注環境にうまく適用し、独自の「集団脳」により膨大な知恵と技術、社風・文化を積み上げてきました。
集団内で、ある技術について情報をやり取りしているうちに、一定の確率で新たなアイデアを思いつく人が現れます。新しい技術が生まれると世代を越えて受け継がれ、さらに高度化していきます。技術革新が生み出されるのは一個人が賢いわけでも一握りの天才のおかげでもありません。「大きな集団」が必要なのです。そして、「集団脳」を構成する社員一人ひとりが「集団脳」としてその役割を担う必要があります。
また、2つの「集団脳」の繋がりを強くするためには、2社間における①共同作業時の充実したコミュニケーションの確保、②顔を突き合わせた場での緊張感や刺激の共有、③若手社員からの活発な意見・提案 等による相互の言わば“脳神経の活発なやり取り(相互社員の情報交換・共有)”が必要不可欠です。
さらに、経験を重ねたキャリアある方が、この「集団脳」に加わっていただくことで、より新たに集団の活性化が期待できます。相互のやり取りにより活性する集団ほど「集団脳」は進化し、より高度なノウハウ、イノベーションを生み出すことができるのです。新会社の「集団脳」に加わっていただき、新会社の技術革新を一層加速し、お互い成長していきたいと考えています。

COMPANY
大日本ダイヤコンサルタント株式会社
創業
設立 1963年
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■事業内容

開発および建設技術コンサルティング業務
道路・橋梁/河川・砂防/港湾/下水道/地盤防災/環境/景観デザイン/トンネル/情報通信/エネルギー/技術開発/海外