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電気工事施工管理技士の資格について
電気工事施工管理技士の資格とは
建設業法第27条に基づく国土交通大臣の指定機関が実施する「施工管理技術検定」に合格することで得られる国家資格です。施工管理技士の資格は「建築」「土木」「造園」「建設機械」「管工事」「電気通信工事」、そして「電気工事」の大きく分けて7種類があります。
電気工事施工管理技士の試験概要・勉強方法
電気工事施工管理技士には1級と2級があります。
試験科目については1級と2級と同じですが試験の内容は2級よりも1級の方が受験資格や試験の難易度が上がります。
試験は「第一次検定」と「第二次検定」の二つがあり、両方の検定に合格することにより、電気工事施工管理技士の資格を得ることができます。
第一次検定は、4肢択一と5肢択一のマークシート方式で、第二次検定は5肢択一と記述式です。試験会場で何か実技のような作業をするようなものはなく、全てペーパーテストで完結します。
第一次検定は「電気工学等」の知識、「施工管理法」の知識・能力、「法規」の知識が試験科目です。
第二次検定は「施工管理法」の知識・能力が試験科目になります。
試験に合格するには第一次検定、第二次検定それぞれで60%以上の得点が必要です。合格定員が決まっているわけではなく、競争試験ではないので、60%以上の得点を獲得できた方は合格となります。
合格率は直近ではだいたい4割~6割の割合で推移しています。
万全な準備さえしていれば合格へのハードルは高いものではありません。
試験の勉強方法は、いろんな方法がありますが、独学においては過去問を繰り返し解くことをお勧めします。過去問を解くことで電気工事施工管理技士試験の傾向がわかりますので試験慣れができます。
また、自分の得意・不得意な分野も知りながら対策できるため、忙しくて勉強時間が取れない人でも効率的に学習できます。但し、過去問をただ単に解いて終わりとするのではなく、偶然正解したものやわからなかった問題は解説を読み、理解することを怠らないようにしましょう。
過去問10年分を3回以上は繰り返し解き、内容も理解しておくと、合格は現実的なものとなるでしょう。
2021年度から「施工管理技術検定」の制度が変わり、大幅に内容が変更されましたが、極端に合格することが難しくなったということはありません。試験制度は変更になったとはいえ、これまでの電気工事施工管理技士合格レベルの勉強をしておけば合格は手に届く範囲です。
電気工事施工管理技士の資格をもつメリット
建設現場において電気工事を行う場合、その現場に「監理技術者」や「主任技術者」を配置する義務があります。電気工事施工管理技士は1級であれば「監理技術者」「主任技術者」、2級であれば「主任技術者」になることができます。
監理技術者とは
工事請負金額:総額4,000万円以上(建築一式工事6,000万円以上)の現場において必要になる技術者です。
主任技術者とは
建設現場において、工事請負金額や元請・下請関係なく、配置が必要になる技術者です。
(但し、監理技術者を配置した場合は主任技術者を必ず配置する必要はありません)
また、建設業を営む企業は建設業許可を受ける必要があります。
電気工事に携わる企業であれば電気工事業の「建設業許可」が必要になります。
この「建設業許可」を受けるために専任技術者を営業所に配置する必要があり、専任技術者になるためには電気工事施工管理技士が必要になるのです。
建設業許可には「一般建設業許可」と「特定建設業許可」の二種類があり、「一般建設業許可」を受ける営業所の専任技術者になるためには2級電気工事施工管理技士以上の資格保有者が、「特定建設業許可」を受ける営業所の専任技術者になるためには1級電気工事施工管理技士の資格保有者が必要になります。
さらに、建設業において国や県、市などの公共工事を受注するためには経営事項審査というものを通過する必要があります。
この経営事項審査には評点というものがあり、企業の経営状況などの健全性を図る指標のようなものがあります。この評点を上げる1つの要素として企業で雇用している電気工事施工管理技士の資格保有者数があります。2級電気工事施工管理技士一人につき2点、1級電気工事施工管理技士一人につき5点、企業に加算されます。
以上のような点から電気工事施工管理技士を持っていると、電気工事業を営む企業にとっては貴重な人材ということになります。
建設業の人口が減少し続けている昨今、電気工事施工管理技士の資格をもつ人は希少になっていますので、建設業、特に電気工事関係の企業への就職には有利な資格になります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
建設業界では人手不足に悩まされており、技術者も同じく減少傾向にあります。
1級でも2級でも電気工事施工管理技士の資格を所有していれば建設業で電気工事に携わる企業への就職には格段に有利になることでしょう。
また電気工事会社でなくても建築会社の設備担当としても採用されるチャンスがあるかもしれません。
興味があるのでしたら、ぜひ電気工事施工管理技士を取得してみてはいかがでしょうか?
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