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電気工事施工管理技士が語る「資格と転職」
はじめに
現在、電気工事施工管理技士として日々、施工管理業務をこなしている方々の中には転職を考えている方もいらっしゃるかと思います。転職の理由は人によって様々でしょう。今回は電気工事施工管理技士として施工管理業務を行っていた方の転職について私の転職活動の経験も含めて紹介します。
転職について
電気工事施工管理技士の私が転職活動を行う際に気を付けたことは2つあります。それは転職活動を始める前に転職の目的を決めておくことです。そして自分が仕事において重要に思っていることは何なのか、優先度を決めて自分の中で整理をしておくことです。転職活動中に、途中で決めればいいや、ではなく転職活動を本格的に始める前に決めておいた方が良いだろうと思っていました。
なぜならば、ここがブレてしまったら転職活動中に方向性を見失ってしまい、自分が望んでいない会社に転職してしまったり、いつまでも転職先が決まらなかったり、スムーズに転職活動が進まなくなると思ったからです。実際、この考えは転職活動を終えた今も有効であったと思っています。
自分が今転職をしたいと思っているのはなぜなのか?今置かれている環境のどこが良くてどこが嫌なのか?
転職先ではどういう仕事をしたいのか?将来の自分のキャリアビジョンは?
随分悩みました。自分で決めるのが難しいのであれば家族と相談しても良いと思います。
私の転職のきっかけは「不定期な転勤をなくしたい」というものでした。
電気施工管理という仕事は工事現場が主な職場です。
だから、いつも同じ場所に職場があるというのではなく自分が担当する工事現場の場所に合わせて不定期に転勤するということが前職では必須でした。当時の私は1年に1回以上の頻度で転勤していました。転勤の度に忙しい合間を縫って休日の家探しから引越しの段取り、子どもの転校や住所変更などの手続き諸々などを行わなければならず家族全員が負担に感じていました。
単身赴任も検討したのですが、家族会議の結果、家族で一緒にいたいという結論に至り、結果的に転職をすることに決めました。
転職を決めたきっかけは上記のようなネガティブな要素であったのですが、転職活動を通してポジティブな要素も見つかりました。それは「電気工事施工管理」という自分の培ってきた専門知識や経験が、他の分野の職種においても応用できる可能性があるということを知れたということです。
この後に転職先の例を少しだけ紹介しますが、電気施工管理の経験は「電気」「建設業」「施工管理」という切り口から多岐にわたる選択肢がありました。
電気工事施工管理技士の転職先
電気工事施工管理技士で施工管理をやっていた人にはどんな転職先があるのかをいくつか紹介します。
結構、幅広く職種はあります。
建設業であれば同じようなサブコンの会社はもちろん、ゼネコンなどの総合建設会社の設備担当、設計事務所などが挙げられます。より専門的な盤改造や電気計装や弱電系、電気工事作業をする会社という道もあります。
建設業以外であれば、メーカー工場等のプラント施工管理、メーカーの機器の保守メンテ、電気工事の資材関係の専門商社、ビルなど施設の設備管理などでしょうか。
自分の今後のキャリアや勤務条件の優先順位を決めることによってある程度、どういった職種に転職しようか方向性が見えてきます。
私の場合は、「電気」だけではなく「建築」「機械設備」にも興味があり施設全体を総合的に仕事とすることができる職種で、転勤がないことを条件に転職活動をしていました。
当時私が興味を持った企業で施工管理をしようと思うと、転勤はほぼ必須と言われてしまいました。
よって、施工管理という職種からキャリアチェンジを考えるにいたりました。
最終的に私が転職したのはある企業の保有施設の「ファシリティマネジメント」関係の職場です。
私が今までやってきた「電気」というキャリアは「ファシリティマネジメント」分野のなかではほんの一部に過ぎないので、知識という面では「建築」「機械設備」「財務」「エネルギー」など新しい分野ばかりで一から勉強するものが多く、その点において苦労しています。
しかし、経験という面では現場で培ってきた調整力やスケジュール管理、人との対話などの基本的なコミュニケーションスキル等、今の職場でも十分に活用でき、発揮できていると思います。
さいごに
電気工事施工管理技士の転職において中途採用面接などを経験し、感じたことです。
企業側が興味を持っているのは電気工事施工管理技士の資格をもっているということよりも資格をもった後、応募者が実務経験、実績でどんなことをしてきたのかを聞かれます。
ですので、転職を決めるまでに電気工事施工管理技士の資格をとって実務経験を通して、ある程度実績を積み上げておいた方が良いでしょう。また、そういった実務経験や実績を言葉で説明できるよう準備しておきましょう。
圧倒的に履歴書よりも職務経歴書の中から質問されることが多かった印象があります。
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転職は自分の今後の人生を大きく変えると思いますが、自分一人で背負い込んでプレッシャーに思う必要はありません。家族がいらっしゃる方は家族ともよく相談し、今後の生活スタイルを踏まえ、悔いのないよう悩み選択していかれるといいと思います。
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