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建設現場改革!IT化の力で快適に働く時代へ

2023.04.20

こんにちは。ゼネコンで建設現場のIT化を任されている、現役の現場監督です。

突然ですが質問です。建設現場で現場監督として働きたいと思いますか?

現場監督は3K(きつい、汚い、危険)のイメージがあるかもしれません。
そんな建設現場の悪いイメージゆえ、転職においても敬遠されがちです。

ですが昨今では『建設現場IT化』を進めている企業もかなり増えてきています。
それによりここ数年で大きな変化の流れができ、働き方改革が起き始めているように感じます。

建設現場への転職に対する不安を解消するため、また今後確実にやってくるIT時代に置いて行かれないために、今起きている実際の現場のIT化と、IT化の今後について解説していきます。

IT化って何?何ができるの?

最初にIT化という言葉の定義ですが、この記事では『人力・アナログで行っていたことを、機械・デジタルで行うようにすること』として話を進めます。

例えば、

紙の図面を持ち歩く⇒図面をデータ化し、スマートフォンやタブレットに入れて持ち運ぶ現場を歩き回って工事写真を撮影する⇒ドローンを遠隔操作して写真を撮影する配管や電線等の配置を一つ一つ採寸⇒3Dスキャナで空間をまるごとデータ化などが該当します。

ITの進歩は目覚ましく、今現在でも日に日に進化し、驚くほど便利なツールも増え続けています。
それによって建設現場の環境はよくなるのでしょうか。

建設現場IT化によって快適に働ける時代はくるのか?

皆さんは建設現場のIT化についてどう思いますか?
3Kのイメージを払拭し、快適に働くことができるようになると思いますか?

これは私個人の意見ですが、IT化により建設現場を快適な職場にすることは十分に可能だと思います。

それはITツールの使い方次第で、今までできなかったことが簡単にできるようになったり時短ができたり、メリットがたくさんあるからです。
そもそも建設現場IT化の主な目的は「3Kイメージの払拭」「業務効率化」「人手不足の解消」なのですが、例えば

・作業や処理を機械にやらせることで、人は機械に指示を出すだけでよい。
・人がやるよりも早く、正確で、怪我の危険が少ない。
・IT化を進めている現場は、そうでない現場に比べて効率がよく、無駄が少ない

など、いいことづくめです。
このように、ここ最近で大きく進化しているIT分野。今に至るまでを振り返ってみます。

建設現場の移り変わりは劇的に。業務効率化はできている?

図面を複製する事を例にして過去を振り返ってみます。

手書き・青焼きの時代。図面を複製するのは人力でした。1枚の図面を複製するだけでも途方もない時間がかかり、それに伴い人件費も膨らみます。ですので図面を何度も修正することはできず、配布も最小限にとどめる必要がありました。

コピー機の時代。ボタン一つで紙の図面を複製することができるようになりました。青焼きの時代からすると、圧倒的な時短。機械さえあれば一瞬で同じ図面のでき上がりです。

デジタル・クラウドの時代。cadを始めとするソフトの普及で、パソコンで図面を描いたらそのままデータをクラウド上で共有する。それが当たり前になっています。

このように、IT化やデジタル化によって世の中は随分と楽をできるようになりました。
それでも
『俺の若かった頃はなぁ!』などと言い出しがちな方々からは、

『IT化が進んだ?残業時間はそんなに変わってないぞ。本当に効果はあるのか??』という声も聞こえてきそうですね。

でも考えてみてください。
今の仕事量を、手書きの時代に戻ってこなせますか?

数枚の図面の複製を用意するだけでも日が暮れてしまいます。それが今ではデータをコピーしてメールで送信するだけ。またはクラウドで共有するだけ。
クラウド上で作業をしていればもっと早いです。
もしIT化をしても残業時間が減っていない場合は、時短につながった分を仕事のクオリティの向上に充てているのだと言えます。

IT化の恩恵。昔を振り返ると改めてありがたさを実感します。

IT化に使えるツールと、IT化の今後

多くの建設現場で使われているツールにはどんなものがあるのでしょう。

・iPhone、iPad(スマホ、タブレット)
・Bluetoothイヤホン
・スマートウォッチ
・現場用定点カメラ
・ドローン
・ルンバ
などが主に導入が進んでいるツールでしょう。
特にスマートフォン系は無料アプリが豊富にあることから、使い方次第でいろいろできます。

では今後はどんなものが主流になっていくのでしょう。
あくまでもこれは私の予想ですが

・ドローン作業
・無線操作の重機
・現場に大型モニター
・現場内Wi-Fi
・3Dプリンタによる建築
・AIによる書類作成、整理
・メタバース(AR、VRなど)
・iPhoneで3Dスキャン
などではないでしょうか。

すでに主流になりつつあるものから、今はまだ技術が確立されてないものまでいろいろ出してみました。
これらが全て実現したとなると、現場監督がやることは事務所で機械のモニタリングくらいになるのでしょうね。

建設現場IT化によって快適に働ける時代はくるのか?

この問いに対する答えとしては、必ずそんな時代が来ると自信をもって言えます。
むしろもう来ていますからね。
3Kと言われてきた現場仕事も、IT化の恩恵でどんどん働きやすく変わってきています。
それによって建設現場への転職に対するハードルも下がってくるのではないでしょうか。

今後、IT化が進んでいくのは間違いありません。それに伴い、新しいツールを素早く見つけ出し、取り入れる柔軟なフットワークが求められる時代になってくるはずです。

この記事を最後まで読んだ方は、きっとそれらに対して理解がある方なので大丈夫だと思いますが。

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