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私が現場監督から構造設計職へ転職した理由とは?

2023.05.03

未経験でチャレンジした構造設計

建築業界には様々な仕事がありますが、構造設計職は特に専門性が高い職種です。
そのため

●構造設計職に転職するには構造設計の実務経験が必要?
●構造設計職で働くとどんなメリットがあるのか?

といった疑問をお持ちの方も多いかと思います。

構造設計職への転職には構造設計の実務経験が必須のように見えますが、必ずしもそうであるとは限りません。
実際に、私は構造設計をしたことがない現場監督でしたが、構造設計職へ転職することができました。

この記事では、私の実体験を元に以下の項目を紹介しています。

●構造設計職に転職した動機
●構造設計職に転職するためにしたこと
●構造設計職に転職をしてよかったこと
●これから転職を考えている人へのアドバイス

それでは、みていきましょう。

構造設計職に転職した動機

私が構造設計職に転職した動機は、下記のとおりです。

●休みのない現場監督に耐えられなかった
●構造計算により建物や仮設物の計画をすることに魅力を感じた

1つずつ紹介していきます。

休みのない現場監督に耐えられなかった

私は新卒で地方のゼネコンに就職し、月に1度休めるかという状況で2年半働いてきました。
現場監督から構造設計職に転職した動機は、現場監督として働くことに限界を感じたからです。
毎月100時間を超える残業をしていましたが、残業代として支払われるのは50時間まで。
自分の時間を搾取され続けることに恐怖を感じ、転職を決意しました。

構造計算により建物や仮設物の計画をすることに魅力を感じた

私が転職先に構造設計職を選んだ理由は、構造計算や建物や仮設物を設計することに魅力を感じたからです。
ゼネコン時代に足場や土留めなど仮設物の計画をする際に、構造計算が必要な場面がありました。
情けないことに、大学で建築系の学科を専攻していたにも関わらず、構造計算が分からなかったので全く計画が進みませんでした。
そこで他部署の構造設計者にアドバイスを求めたところ、ほんの1時間ほどで解決。
知的で縁の下の力持ち的な構造設計者に魅力を感じました。これが構造設計への転職を意識するきっかけとなりました。

構造設計職に転職するためにしたこと

未経験から構造設計職に転職するためにしたことは、下記のとおりです。

●構造設計業務が未経験でも転職できる会社を探した
●勤務地にこだわらず転職活動をした

それぞれについて、詳しく紹介していきます。

構造設計業務が未経験でも転職できる会社を探した

構造設計職に転職するために、まずは構造設計業務が未経験でも転職できる会社を探しました。
大手や有名な企業では、ほとんどのケースでは構造設計業務の経験者しか中途採用をしていません。当時は現場監督の経験しかなかったので、書類審査の通過でさえ困難です。
そこで、規模は小さいが実績が豊富で、構造設計業務が未経験でも採用している企業を見つけて転職に成功。
小規模な企業では1人当たりの裁量が大きいので、2度目の転職に役立つ実績を作ることもできました。

勤務地にこだわらず転職活動をした

勤務地にこだわらず転職活動をすることで、未経験から構造設計職に転職できました。
私は地方に住んでいるのですが、やはり地方では求人自体が少ないので、構造設計の仕事を見つけるだけでも困難です。最初こそ家の近くで働けたらなどと思って就活をしましたが、早々に現実を知ることに。
そこで、大都市圏や近隣の都道府県でも企業を探し出して、転職することができました。

地方での就職にこだわって転職活動を続けていたら、未だに現場監督として働き続けていたかもしれません。

構造設計職に転職をしてよかったこと

現場監督から構造設計職に転職をしてよかったことは、以下のとおりです。

●現場監督の過酷な労働環境から解放された
●論理的に思考して几帳面に作業をする癖がついた

1つずつ紹介していきます。

現場監督の過酷な労働環境から解放された

構造設計職に転職してよかったことは、現場監督の過酷な労働環境から解放されたことです。
工事現場で危険な目に遭うことはなく、毎日エアコンが効いた事務所で仕事ができます。
また、土日祝日はしっかり休むことができて、転勤はほとんどありません。安定した私生活を送れるようになったので、趣味や勉強に多くの時間を割けるようになりました。

論理的に思考して几帳面に作業をする癖がついた

構造設計職に転職してからは、物事を論理的に思考して几帳面に作業をする癖がつきました。
建物の構造を決めるためには、あらゆる荷重に対する安全性を確認しなければいけません。
設計途中で構造が変更になると手戻りが発生するので、初期段階で精度が高い荷重を算出しておく必要があります。
様々な部位にかかる荷重を想定して細かく部材の算定などをしている過程で、論理的な思考や几帳面さがプライベートでも活きるようになりました。

これから転職を考えている人へのアドバイス

これから転職を考えている人は、自分がやりたい仕事について改めて考えてみてはいかがでしょうか。
一般的には経験を活かすことを前提として同じ職種で転職する方が多いと思います。もちろんその選択肢も含めて、自分の希望を棚卸してみましょう。
私には現場監督は不向きでしたが、大きな裁量を持って仕事がしたい人には魅力的な職種です。労働環境が整っている企業であれば休日出勤や残業代も全額支給され、高年収が期待できます。

現場で忙しく働きたい人もいれば、年収は低くても事務所でのんびり働きたい人もいることでしょう。
建築業界には色々な働き方があるので、自分に合った職種を選ぶことが可能です。
転職を経験した立場として、まずはご自身を見つめ直してみられることをおすすめします。

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