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建築士法改正後の、一級建築士合格発表

2021.02.18

建築士受験資格の見直し

ご存知の通り、昨年2020年3月1日に建築士法が改正され、受験資格の見直しが大幅に行われました。

これまで1級建築士試験の【受験資格】だった「実務経験」が【免許登録要件】に変更となり、具体的には大学などを卒業してすぐに受験→合格したのちに2年の実務(こちらも3年だったものが短縮)を積めば建築士資格が取得できるようになりました。(図1参照)

これまでは受験をするまでにまず実務経験を積まなければならかったため、改正によって少なくとも3歳、受験可能年齢が下がったことになります。

ハードな建築実務をこなしながら並行して受験勉強を続けるというのはかなり過酷な挑戦でしたが、時間に余裕のある学生のうちに試験準備を積み重ね、社会人一年目の夏に試験を受けられるようになったため、そういった意味でも若年層の受験者にとっては非常に有利な状況になりました。

(図1)
建築士免許登録要件

一級建築士の受験者数は、建築士法改正時(2019年)で25,132人。その10年前から比較すると実に40%も減少していました。

かつ、一級建築士の年齢の内訳に目を向けると、6割以上を「50歳以上」が占め、そのうちのなんと約4割が60歳以上と、深刻な高齢化が問題視されていました。このままでは10数年後には相当数の建築士が引退することとなり、建築業界全体に不具合が生じてしまいます。

今回法改正に至ったのも、一級建築士の若返りが最大の目的であったことは言うまでもありません。

制度改正後はじめての建築士試験

2020年7月、法改正後初の建築士学科試験が実施され(設計製図の試験は9月)、12月25日に合格発表がありました。

国土交通省の発表では合格者3796人のうち35.2%が26歳以下。今回から初のエントリーとなった23歳以下の合格者は220人超で、全体の6%を占めたことになり、当初の若返りの目的は見事果たされたことになります。(図2参照)

そのうちなんと20歳の合格者も数名いたとのこと。たしかに高等専門学校か2年生の短期大学・専修学校などで受験に必要な指定科目を履修した者であれば受験は可能なので、二十歳の一級建築士合格者という夢のような肩書の新成人が現れたわけです。(工業高校を卒業後すぐに二級建築士に合格し、二年の実務経験を積んだ者でも20歳受験は可能ですね→その場合は実務経験4年が必要になります)

一級建築士合格者年代別割合グラフ

(図2)

直近二年の一級建築士合格率

(図3)

減少傾向だったと先述した受験者数も、学科の受験者は25,132人(2019年)から5,000人も増加し、9年ぶりに3万人を超しました。(図3)

テコ入れは狙い通り一定の効果が得られたと言えるのでしょう。

学科試験有効期間の見直し

学科試験の有効期間についても変更がなされました。

これまで学科試験合格の有効期間は3年とされていましたが、今回からは5年と延長され、自分のタイミングで製図試験を受験することができるようになりました(製図試験を受験できる回数は従来どおり最大3回)(下図参照)

(図4)

学科試験有効期間の法改正後の違い

これに直接関係があるかどうかは不明ですが、2020年10月11日に行われた設計製図の試験は欠席率が例年より高かったそう。コロナ感染リスクを避けるためにあえて年をずらしたか、余裕をもって試験勉強に時間をかけるためか、どちらの理由とも分からないですが、自分で準備に自信のある年を選択して受験できるようになったことは間違いありません。

不合格者のランクの内訳

ちなみに今年は設計製図の試験のランクIV(設計条件及び要求図書に対する重大な不適合に該当するもの)の割合が著しく高く、逆にランクⅡ(「知識及び技能」が不足しているもの)が非常に少ない結果となりました。(図4参照)

令和元年の結果も同じような推移で、調整で落とされたいわゆる「惜しい」不合格者が僅少だったことに加え、ランクⅣがさらに増加していることから「はるか実力が及ばなかった」とされる不合格者が多く見られたことになります。初挑戦だった若年の受験による影響なのかははっきりとは不明ですが、少なからず関係があるのではないかと推察されます。

しかし昨年度も合格僅差ラインのランクⅡ以外(ⅢとⅣ)が実に6割も占めていることから、一級建築士に必要とされるスキルの水準が以前よりもさらに厳しいものになってきているということなのかもしれません。

一級建築士試験結果グレード

(図5)

新しい若い力の流入で、建築業界全体のパワーが底上げがされることを願うばかりです。

公益財団法人建築技術教育普及センター 一級建築士試験HP