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建築物省エネ法について:設備施工管理のポイント

2023.09.05

平成27年7月に【建築物のエネルギー消費性能向上に関する法律(建築物省エネ法)】が制定され、その規制は年々厳しくなり、令和3年4月1日からは床面積の合計が300m2以上の建築物を新築等する場合は、省エネ適合性判定を受けることが必要となりました。ここでは、一般的に採用されるモデル建物法で申請がされている場合について、施工管理のポイントを簡単に説明します。

建築工事

【外皮】
外皮とは、外壁面積、外壁や屋根、床の平均熱貫流率、窓面積、平均日射熱取得率などの総称です。外皮の最大の管理ポイントは、断熱材とサッシです。

断熱材は吹付け硬質ウレタンフォームにて設計され、計算されていることが多くあります。申請図にて吹付け範囲、厚み等を確認し、必ず吹付け厚の自主検査と監理者の立会検査を行ってください。竣工時には目視にて確認が難しくなりますので、吹付け厚と外壁面(方位)ごとに区分けの上管理しておくことが大切です。

次にサッシは、納まり上申請のサッシ面積やガラスの構成が設計(申請)と現場が異なる場合があります。申請書に添付の計算書にはガラスの種類(ガラス記号)が記載されていますので、変更がないか確認してください。現場管理の方法としては、ガラス納入時に貼り付けられているラベルの保管が良いとされています。全数の保管と整理は手間がかかりますが、材料受入検査と合わせてラベル保管をおすすめします。

【空気調和設備】
空気調和設備では、主にエアコン類と全熱交換器について審査されています。全熱交換器は換気設備でなく空調熱源として扱われていることにまずは注意が必要です。

まず空調熱源(エアコン類)は、申請品番の通りの品物、台数であるか、冷房・暖房能力と消費電力は申請通りか確認します。空調熱源は隠蔽になる部分が少なく、竣工検査時に現地での確認も可能ですが、施工者と監理者の受入検査を必ず行ってください。

全熱交換器も空調熱源と同様に申請品番と設置品番の確認、台数、風量、全熱交換率の確認を行い、受入検査を実施してください。

【機械換気設備】
機械換気設備では、建物全ての換気設備が該当するわけではなく、特定の用途の室に対する換気設備の仕様のみが見られています。換気方式や換気扇の送風量と電動機出力等、申請書と差異がないか注意してください。また中間ファンなど天井内に隠蔽して見えなくなるものは、受入検査の他に設置状況の写真を品番含め撮影してください。

【照明設備】
モデル建物法では、建物の用途ごとに照明設備を申請する室用途が決められています。まずは申請図でどの部分が該当するのか必ず確認してください。在室検知やタイムスケジュールなどの制御も申請対象となりますので、詳細まで確認の上現場管理を行ってください。照明設備は施工を進めていく中で、備品類のレイアウトや使い勝手の変更に合わせて器具を変更する場面も多くあります。必ず監理者に相談してから変更するよう注意が必要です。

【給湯設備】
給湯設備では、熱源効率、配管保温仕様、節湯器具の有無などが問われます。設計、申請時に給湯の計画がなかったけどやっぱりここにも欲しいという発注者側の要望が出てしまうと、省エネ適判の変更申請(または軽微な変更)が必要となります。監理者との協議を必ず行ってください。

【昇降機】
昇降機はその制御方法と仕様が申請されています。適判の検査では施工図で申請内容と整合されているか確認される場合が多いです。

【太陽光発電設備】
太陽光パネルの面数、アレイのシステム容量や種類、設置の方位角・傾斜角が申請されています。機械置き場はメンテナンスや施工性を検討すると設計図とレイアウト変更されることも多いですが、太陽光パネルについては基本的に申請図通りとなるよう留意してください。

【コージェネレーションシステム】
コジェネについては、定格発電出力や発電効率、排熱効率等が評価されます。施工中の大きな変更はあまり発生しないと思われます。受入検査と検査時に完成図の準備を行ってください。

最後に

建築物省エネ法の施工管理のポイントを簡単に説明しました。省エネというと、電気・機械設備がほとんどでは?とサブコン任せにしている方もいらっしゃると思います。難しい内容ではありませんし、これからは監理技術者の知識として必須になります。この機会に学んでみてはいかがですか。

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