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意匠設計の業務内容

2022.02.15

建築の仕事には大きく分けて設計と施工があります。

今回は設計の仕事について解説します。

一概に設計といっても役割は多岐に渡り、大きく分類すると、意匠設計、構造設計、設備設計があります。木造2階建て規模の設計では、構造設計と設備設計の出番は殆どありませんが、規模が大きくなるとそれぞれに専門の設計者が付くことになります。その中でも建物のデザインを担う意匠設計が花形のように思われます。ところがひと言で意匠設計といってもその作業は膨大です。

それでは、意匠設計の仕事をざっと紹介します。

意匠設計は、主に建築のデザインを担当します。顧客の要望を最大限に実現させるのが使命です。先に申したように、設計の仕事は広範囲に渡り、その仕事もそれぞれに細かく、全てをひとりで行うのには無理があります。

その中でも主だった仕事の流れを説明します。

顧客との打ち合わせ

顧客が何を欲するか判らない限り、設計に着手することはできません。収益目的の商業ビルであるとしても、建物の規模、イメージは提案はすれど勝手に決めることはできません。予算も踏まえて、顧客の意見をしっかりと聞き取ります。その上で設計の柱となる事項を確認していきます。それゆえ、設計者はコミュニケーション能力も大切なスキルとなります。

ボリュームを含めたスケッチ案を作成

いわゆる「たたき台」を作ります。大きさがわからないと収益性もチェックすることはできません。事業計画などは営業が作成する会社もありますが、規模の小さい設計事務所などでは設計が担当することも少なくありません。つまり、金融機関などに提出する資料も作成し、事業計画のお手伝いも広域の設計の仕事になります。

ボリュームとは、この土地にどれだけの建物が建てられるかをシミュレーションする作業です。用途によっても変わりますし、その土地の用途地域でも変わってきます。

現地調査

図面上では建築可能であっても、実際には建築できないケースもあります。例えば地図上で接道はしているけど高低差がありすぎる、隣地の基礎がはみ出ている、擁壁から水が垂れ流し等、紙の上では予測しきれないこともあります。また、周辺環境が計画建物に合わない、窓を予定していた場所は隣地から丸見え等、実際に現地へ行ってみなければわからないことは多くあります。必ず、実際に建てたらどうなるかを調べることはとても大切です。時間がないからといって省くことはできません。

役所協議

実際に図面を作成する前に必ず行わなければならないのが、行政との擦り合わせです。役所とひとまとめにしていますが、建築指導課だけでなく、水道局や清掃局など、地域に必要な部署にも確認する必要があります。市町村によって必要協議が変わってきますので、予め調査する必要があります。建築協定などの有無も計画を左右する一因となります。

構造設計、設備設計との擦り合わせ

顧客だけでなく、他のポジションの専門家とすり合わせるのも意匠設計の仕事です。意匠が優先とはいえ、無理のある計画は立てられません。かといってあまり融通を利かせすぎるのもデザインを壊す恐れもあるので、見極めが大事です。ですので、専門外といっても説得できる知識は必要ですし、やはりここでも交渉力、コミュニケーション能力が大切になってきます。

建築確認申請

いよいよ実設計に移ることになりますが、ここで建物を造るには避けて通れないのが確認申請業務です。法規に照らし合わせてチェックし、確認機関に適合しているとお墨付きをいただくことが確認申請業務です。設計者と確認機関の解釈の違いで話し合いが難航することもあり、落としどころを擦り合わせるのも設計のスキルと言えるでしょう。

詳細設計

確認申請に使用しただけでは建てることはできません。より詳細な納まりを記載した詳細図が必要です。納まり方によっては構造躯体を動かすこともあります。その場合は再度構造設計や設備設計との調整も必要となります。

これらをすべてまとめたものが設計図書となります。

工事監理

工事が設計図書で指示されたように施工されているかチェックします。鉄筋が正しく配置されているかなど、完成すれば見えなくなる部分のチェックは大切です。配筋を設計した構造設計担当者が現場で確認することは、まずありません。意匠設計者が任されて検査を行います。つまり、これで正しくチェックされたということで、責任を負うことになります。

完成引渡し

完成したら、確認機関に工事完了届を提出し、検査を受けます。そして完成図書を作成し、正式に施主への引き渡しをします。

その他に竣工検査を行います。先の工事完了届はあくまで法規上の完成ですが、設計としての検査は、仕様書に沿って工事が正しく行われたかの確認になります。仕上げ材の色ムラや取合いの納まり加減、設計者のイメージ通りに仕上がっているかの確認です。検査は施主の代理で行っているので、使用する目線でも確認します。扉の建付けが重いなど使い勝手が悪いままで引き渡すのではクライアントの信用も失ってしまいます。

まとめ

いかがでしょうか。意匠設計もひとつの専門職なのですが、その仕事の範疇が不明瞭でかつ膨大ということがわかるかと思います。図面だけ引いていれば設計の仕事はできるものだと勘違いしてはいけません。設計というものはデザインだけでなく、クライアントの要望を引き出し、チームの調整をこなし、新しい建物をこの地に生み出す役割を担っていることを理解していただければと思います。

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