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電験三種の取得後から転職までの流れについて
電気主任技術者は設置が法律で定められているため、電気業界の中でも特に安定した職業として知られています。しかし、難易度が高いのが特徴です。
第三種に区分される電気主任技術者を目指す場合は、電験三種の資格を取得しなければいけません。これには数年単位の時間を要する場合もあります。
ただし、資格することで転職活動をより有利にできるため、30代後半以上の方には特におすすめです。
そこで本記事では、電験三種の取得後から転職までの流れを中心に、電気主任技術者を目指す2つの方法と転職する際の注意点もあわせて解説します。
電気主任技術者を目指す2つの方法
電験三種の資格を活用する代表的な職業に電気主任技術者があります。第一種~第三種の区分が設けられており、これから目指す方におすすめなのは第三種電気主任技術者です。
1 | 電験三種に合格する |
2 | 認定による免状の取得 |
学歴や職場での経験によって取得する方法は異なります。両方ともに情報を必ず確認してください。
電験三種に合格する
1年に1度秋頃に実施される電験三種の試験に合格することによって取得する方法です。こちらは、一般的な方法で学歴や年齢に関係なく誰でも取得が狙えます。
電気の職場で実務経験を有していても最終学歴が文系の方であれば、電験三種に合格しなければいけません。
試験内容は理論・電力・機械・法規の4科目から構成されており、現場での知識を活かせる分野もありますが、新しく身につけなければいけない知識もあります。
また、計算問題も多く出題されるため、毎日1~2時間程度勉強時間を確保し、参考書と過去問題を併用して継続的に勉強することが大切です。
30代後半以上の方であれば、通信講座を受講するといった方法もあります。
受講費用が必要ですが、動画講義や質疑応答の環境が整うため、勉強の効率は独学よりも大幅に上昇するのが特徴です。家庭の時間を確保しつつ、勉強時間も補えるといったメリットもあります。
仕事が忙しい方は、3年以内の全科目合格を目指して電験三種を取得しましょう。
認定による免状の取得
電験三種を認定取得する場合の条件は、次のとおりです。
1 | 工業高校・専門学校・短大・大学【認定校】で単位を取得していること |
2 | 第三種電気主任技術者の指導のもと、3年以上(短大卒の場合は2年・大学卒の場合は1年)の実務経験を有していること |
上記2つの条件を満たしている場合は、認定取得できます。
卒業校が工業系かつ電験三種を有している人のもとで電気現場の仕事に従事したことのある30代後半~50代の方であれば、認定の条件を満たしている可能性は高いです。
また、認定取得は、全国各地にある産業保安監督部に申込み、手続きを完了することで免状が交付されます。提出した書類について簡単な質疑応答もあるため、簡単に受け答えできる準備はしておきましょう。
電験三種の勉強は、数年単位の時間を要することもあるため、必ず認定取得の条件に該当するかどうかは最初に確認してください。
電験三種取得から転職までの流れ
試験合格や認定取得により電験三種を保有した後は、実際に転職活動を行う必要があります。転職の流れについては、次のとおりです。
No | 行動 | ワンポイント |
1 | 転職の準備 | 転職活動の情報収集や転職する目的を整理する。 |
2 | 書類作成 | 履歴書と職務経歴書を作成する。読みやすさを意識。 |
3 | 求人に応募 | 希望の勤務地や電気の職業を検索して応募する |
4 | 面接 | 応募企業との質疑応答。志望動機や退職理由などは確実に。 |
5 | 内定&退職手続き | 会社から支給されている物の返却と受け取る物を忘れずに。 |
上記が電験三種を取得してから転職するまでの主な流れです。ただし、電気業界の転職において特に重要なのが「3:求人に応募する」以降の内容です。
現在の電気業界において電験三種の有資格者は人手が不足しているため、求人に応募した企業が面接に応じた段階で、年齢に関係なくあなた自身を採用する可能性は高いです。
後は、一緒に働いていく中で人間性に問題がないかといったことを確かめているため、面接の中で自分が伝えたいことをはっきりと伝えられれば問題ありません。
企業によっては、電気系統の軽いテストを行う場合もありますが、これも基本知識があるかを確かめるものです。電験三種を取得していれば、解ける問題が多いため、意識しすぎる必要はありません。
内定を確認したら、現在所属している企業との円満退社を図るために必要な行動を取りましょう。支給物の返却や受け取る物の確認、その他必要な手続きがないかを確認してください。
電験三種取得後から転職する際の注意点
これまでの内容で電験三種を取得する方法から転職までの流れについて解説してきましたが、転職する際にはいくつか確認すべきことがあります。それが次の2つです。
1 | 深夜作業(深夜~早朝)の有無 |
2 | 高所作業(電柱などへの昇降)の有無 |
上記2つは体力を大きく使う作業です。特に高所作業は体勢によって腰にも負担がかかります。
電気主任技術者を含め、電気業界では深夜作業や高所作業を取扱っている職場は多く存在するため、転職前には必ず自分が希望する条件を伝えることが大切です。
また、自分自身が企業を選択する側だということも忘れないでください。電験三種は取得していれば技術者としての価値は高くなるため、30代後半~50代の男性でも採用する企業は少なくありません。
自分の希望を伝えつつ、企業を選択する中で「この企業は自分自身と相性(価値観など)があっているか」についても必ず判断しましょう。
まとめ
本記事では、電験三種を取得してから転職するまでの流れについて、転職する際の注意点や電気主任技術者を目指す方法とあわせて解説しました。
電験三種は、試験合格や認定取得に関係なく取得するまでに数年単位を要する場合があるため、資格保有者の数はあまり多くありません。
ただし、電気主任技術者の需要は非常に高く、それに伴って電験三種の資格保有者の需要は近年増加傾向なのが特徴です。
そのため、30代後半以上の方でも電験三種を保有することで転職活動を有利にできます。本記事の内容を参考にして必要な行動から始めていきましょう。
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