コラム 建築技術者が書く、リアルなお仕事コラム。
転職コンサルタントが語る、建築業界のリアルな転職事情あれこれ 後編
弊社所属の敏腕コンサルタントにインタビューを行いました。
これまでの数々の転職支援の経験を通して蓄積してきた知見をもとに、転職のコツなど、お役立ちになりそうなことを色々とぶっちゃけて話してもらいました。→前編はこちら
今回は後編。コンサルタントの思いをベースにお送りします。
Q. 現在の建築業界での転職トレンドはどんなかんじでしょう?
A.昨今のカーボンニュートラルや脱炭素、SDGsの意識の高まりから、各企業もFM(ファシリティ・マネジメント)を強化する流れとなり、求職者の方もFMを希望される方が増えてきました。FMに関わらず、面接などでもそれぞれの職種での立場でカーボンニュートラル、脱炭素に関する考え方を問われるような質問が出されるような動きが見られます。今現在の選考内容に大きく関わる内容ではないですが、今後は建築技術者として何ができるかが問われるようになるのではと思います。
Q. これまでの支援の中で、印象的だったご転職事例を教えてください。
A.元々学生の頃に建築業界を志されていて、ご家庭の事情から道半ばで諦めておられた方の、私は企業紹介側での支援をさせていただきました。
数年間全くの他業界でアルバイトをしておられたのですが、建築業界への憧れを捨てられなかったとのことで一念発起、転職活動を開始され、大手のエージェントを利用して沢山の企業を受けられていました。建築施工管理をご希望でしたが全滅だったようで、希望に合う条件では就職は難しいと言われたそう。希望とはまったく違う工場長の求人で内定が出ている状況で、弊社に相談に来られました。
弊社で駄目ならその会社にお世話になるという決意でおられましたが、なんとかご希望に合う企業はないかと皆で一致団結。大阪府下の思い当たる企業はすごい数を受けて来られていたのですが、それ以外でなんとか、面接していただけるところを探索しました。
不遇だったご状況下でも消えることのなかったその方の建築に対する熱意をプレゼンしたところ、「会ってみてもいいよ」と言ってくださる企業様が現れ、面接へ。求職者担当のコンサルタントが入念な面接対策をおこない、そこで晴れて無事内定をいただくことができました。
念願の施工管理として、正社員での再出発で、大変喜んでおられました。(こちらの事例はHP内の転職成功事例インタビューにも掲載ございます)
人おひとりの人生のターニングポイントに携わったと実感できた、印象深い決定でした。
自分たちコンサルタントのエスコート次第で、その方の人生が大きく左右されるということ。その意識は常に持っておかないといけないな、と改めた感じた一件でした。
Q.反対に、心残りだったご支援、反省点はありますか?
A. 以前、ある有名な大手上場企業への転職をされた方がおられました。弊社からその企業様へ決定となったのはそれが初めてのことだったのですが、入社後、企業から聞いていた説明と実情に大きな乖離があり、その方から今回の転職は失敗だったというお言葉をいただいてしまいました…。
私自身も大手だから安心、大丈夫だろうという思いがあったのは事実でした。それ以降はそういった先入観は捨て、色眼鏡をかけずに、中途入社の方がしっかりと活躍できる企業を見極めてご紹介しようと心に決める出来事となりました。
Q. 人の転職支援をしていて難しいなと感じるところはどこでしょう。
A. 求職者の方から面談時に色々とご希望をお伺いし、一番希望に沿った案件をご紹介したところ、その企業を気に入って下さり、力を合わせてお話を進めていました。しかし他社エージェントの提案で何となく受けた、希望条件を満たすわけではない企業様で想定以上の年収が出た為、そちらで内定受諾をしますと言われてしまった。…といったケースが何度かあります。お金を目の前にすると人の気持ちは簡単に変わってしまうんだなというか…今後の選択をする上で現実的で仕方のない要素ではありますが、ちょっと虚しくなってしまう時も正直ありますね(笑)
また、これはまったく違うお話ですが、お人柄も良く、何とか支援してさしあげたいと思う求職者の方でも、年齢に対してのスキル不足でご紹介先が見つからないこともあります。それでもなんとか受け入れて下さる企業を探すのですが、どうにもならない場合もあって、そういう時には無念さを感じて落ち込んでしまいます…。
Q. これから転職したい人にアドバイスはありますか?
A. 30代以降で転職を考えられる建築技術者の方は、一級資格はほぼ必須(最低でも二級資格)と考えておいて下さい。
転職するには一歳でも若い方がいいだろうから、資格取得は後回しにして…などと考えられる方もおられるようですが、時間と労力を費やしてでも資格取得をされてから動かれる方がおおむね良いというのが私の考えです。
また建築業界に限らず隣の芝は青く見えてしまうものですが、どんな企業にも一長一短はあります。そこを理解した上で、ご自身が転職先で何をやりたいか、何を実現したいかを明確にし、転職に臨んでくださるといいなと思います。
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