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管工事施工管理の業務について②~設備工事の種類と、一日の業務の流れ~

2023.06.27

管工事施工管理が行う書類作成とは

前回、「1日の業務の流れ」の中で触れた「書類作成」について具体的に触れていきます。

・安全書類 

元請け業者に提出するための書類です。内容は施工体制台帳、作業員名簿、注文書、注文請書、工事車両、火気使用届、保険に関係する書類等です)

・作業員人工表
こちらはその日に何人の作業員が現場で作業したのか、それがどの業者であったかなどを記録するものです。工事の開始時点で作業員の単価や作業を委託する会社(外注先)への請負金額が決まっている場合が多いので、工数を都度管理しないと最終的な工事の実施金額 (会社の儲け)もわからなくなってしまます。よってとても重要な作業となります。
こちらが工事の段取りをスムーズに行えれば、作業工数が少なくなるため協力業者さんにもしっかり利益がでて喜ばれます。逆に段取りが悪ければ協力業者さんに追加の作業負担がかかるので追加金額を請求されることが多いです。

・工事実行予算書
工事を受注した場合に元請け業者と契約金額を決めた予算書を、自社の営業または積算部からもらいます。
その中で機器の購入金額はいくらにできるか、外注先の会社にはいくらの金額で請け負ってもらえるか、などを検討し担当業者さんと打ち合わせを行い決めていきます。大事な点は担当業者さんとしっかり話を行い納得した金額をお互いに伝え合う事です。そのためには施工管理の担当者が金額提示をする際に、自分なりの根拠(材料価格、その業者の移動経費や作業自体の品質)を常に検討することが大事です。

・定例会議の資料作成
工事の期間中には、定例会議と呼ばれる会議がほぼ必ずあります。
頻度はだいたい月に1回か2週間に1回程度です。
この会議には施主、設計事務所、元請け業者、サブコン業者(私のような管工事業者と電気業者)が出席することが多いです。
この会議は、工事の進捗状況、工事会社からの質疑、工事での問題点、施主からの要望、設計事務所からの要望などを話し合います。この会議で提出するネタを作成するのも当然、管工事施工管理である私の仕事です。
主に便器や空調機、換気扇の機器のプレゼン資料や空調機や換気扇の配置など施主に確認したい内容を作成していきます。

重要な作業:申請について

設備工事では工事前、工事後に行政に申請をしないといけない書類があります

以下に主だったものを挙げていきます。

・給排水設備工事:市の水道局と市の下水道管理課に対する申請
新規の建物での給排水設備工事には上下水道の申請が必要です。
それぞれの自治体によって形式は異なりますが基本的には外部の埋設配管を施工する前には事前の申請が必要になります。

申請内容の中身としては
・水道メーターの大きさは?
・給水管の管材の種類は何か?
・給水管を埋設する深さはどの程度か?
・排水管はどれくらいの深さで施工するのか?
・排水管の大きさはどのくらいか?
・桝の形状は何か?
※桝とは外部に出た配管が合流する箇所に設ける点検口みたいなものです。
…などがあります。

先ほど述べたように自治体によって異なるのですが、私の地域では大まかにこのような内容になります。

この申請を適切に行わずに工事を実施すると、行政からの指定工事店として指名停止となり会社自体が工事を請け負えなくなる場合があるので注意が必要です。

また、工事が完了すれば市の水道局、下水道管理課から完了検査を受けないといけません。

・消火設備工事:消火工事を行う場合は消防局に申請届を行う
次に消火設備工事を行う場合の申請内容を説明します。
消火設備工事(例えばスプリンクラー設備・屋内消火栓設備)を行う場合は工事の10日前に着工届を提出しないといけません。

申請内容の中身としては
・配管の材質は何か?
・消火配管の圧力損失計算書はいくらか?
※圧力損失計算書…火事が発生した際の消火活動で規定以上の水が出るかを計算した資料のこと
・設計で選定された消火ポンプは規定以上の放水量が出るか?
・その他消火機器の仕様書(姿図)はどのような形状か?
…などがあります

※消火設備工事に関しても、完了次第「設置届」と呼ばれる書類を提出し、完了検査を受けないといけません。合格しないと消防基準を満たしていないと判断され、建物の使用開始の許可が下りなくなります。全体に響く作業なので、とても重要な工程になります。

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