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管工事施工管理の業務について③~施工管理として苦労する点と、良いなと思うところ~

2023.07.04

どの仕事でもそうだと思いますが、設備施工管理業務でも楽しいことや辛い事は多々あります。

三回目の今回は、最後にそのあたりに触れて終わりたいのですが、設備施工管理をされておられる読者の方にはあるある!と感じていただけるのではないかと思います。

1.お客の立場である元請けのとの人間関係

設備施工会社は基本的には1次下請けになります。誰がお客になるのかと言うと「建築施工業者」。前回・前々回から元請けと呼んできた会社です。

現場をできるだけ円滑に進めようとする時この元請けとの関係がとても大切になってきます。

そしてこの元請けの職員の方には非常に癖の強い方もおられ、そこの交流と関係構築に労力を割かれる場合が多いです。個人的には私が一番苦労している部分です。

2.作業工期がない場合に休みがなく、職人さんとの調整にかなりの苦労を強いられる

いわゆる突貫工事と呼ばれるものです

原因は元請け業者の予算がないために、下請けであるこちらが工期を短く請けてしまっていることです。

この突貫工事を請けてしまった場合、その工事にかかわるすべての業者は当然かなりの苦労を強いられます。時には正月すらも出勤となる休み返上で、現場にはピリついた空気が流れます。そんな状況下では、あってはならないことですが、品質が低下してしまうリスクが伴います。例えば配管の接続がうまく行えておらず、漏水の原因になってしまうこともあるのです。

しかしながら時代も働き方改革が進み、今現在はこのような突貫工事も大分少なくなっているように思います。かつての先輩方のご苦労とは比べようがないのではないかと感じます。

3.他業者との調整に苦労を強いられる

建設現場では当然設備工事以外に他業者の方も多くおられます

機械設備工事は他業者の方との協力や調整がかなり重要なポイントです。先ほどは元請けへの人間関係に触れましたが、現場でも骨を折る部分であったりします。

業務で関わる方たちの顔ぶれを以下に記します。

-鉄筋業者と型枠業者(大工)
梁などの構造体を作るには鉄筋を組んでコンパネ(木の板)で蓋をしてコンクリートを流します。その際にスリーブと言われる埋設配管を構造体に通すための管をあらかじめ入れておく必要があります。
この「スリーブ入れ」と言われる作業はとても重要です。コンパネで先にふさがれたりされるとスリーブを入れなくなってしまいます。

-土木工事業者
土の埋め戻しを行います。埋設配管を行う際に埋め戻しのスピードやタイミングを調整しないといけません。

-内装業者
壁のボードを建てる業者やクロスや床のシートを張る業者になります。屋内の配管施工時や空調機の機器のつり込み時、仕上げの機器の取り付けなどで一番係る期間が長い相手です。この業者と関係がうまく築くことが出来ないと内部の配管作業が円滑に進みません。

施工管理業務について、先に悪い方から述べてしまいましたが、私は繊細なところがあるので、やはり人間関係での苦労が多いのだなと書きながら改めて感じました。

苦労する現場がある代わりに、良い人間関係に恵まれる現場に当たることも勿論あります。その場合は現場全体の雰囲気も良く、仕事がとてもやりやすいです。

そしてこれは工事現場での仕事のとてもいい部分だと思うのですが、仮に嫌な現場に当たってしまったとしても1年も我慢すれば案件が終了しそこの人間関係からは解消されるわけです。通常の仕事であれば一度嫌な部署にでも配属されてしまうとそこをリセットするのは難しいですよね。移動願を出しても聞き入れられる保証はないですし、最悪こちらが辞めなくてはならない場合だってあると思います。必ず終わりがある現場ですから、割り切って働けるというのは設備施工管理という仕事のメリットなのではないかなと感じています。

人間の人柄がものすごく現場の作業の流れを左右することはこの仕事の面白さでもあります。

実際技術的な所の習得は、はやり時間をかけて努力しないと習得できませんが人柄はなかなか変えられるものではありません。そのため人から可愛がられる人や、人間関係を上手に構築できる人は苦労しながらでもうまく現場を収められる印象があります。

愛嬌がある人はこの仕事にはもってこいの人材です。

建設業のなかでも設備業は特に業務の内容が多岐にわたります。多岐に渡る分大変な面もありますが、めまぐるしく変わる日々はやりがいも感じられますと思います。

「うまくいかない現場でめげそうになりながらでもやり切った時」
「気難しい職人さんと仲良くなれた時」
「きっちり建物の用途に適合した図面が作成出来たとき」
「厳しい金額で受注した現場でも工夫して利益を出すことが出来たとき」
「わからない設備の理屈が少しずつわかるようになったとき」
「現場を通じて他の業種と人と仲良くなった時」

私自身わからなかったことが理解できるようになったときや、今までできなかった計算が理解できるようになって計算できるようになったときは面白さを特に感じます

人と人が多く交わる仕事だからこそ大変な分たくさんの喜びがある仕事な事は間違いありません。

また、設備工事は水や空気を扱う仕事です。ライフラインに直結した内容が多いので、その点では仕事自体はなくなることがありません。技術と知識を身につけていけば、かなり安定した仕事であると断言できます。

私自身は最後に挙げた部分が1番のメリットかなと感じています。どこの現場でも管工事施工管理は人手不足ですし、採用において引く手あまたです。

知識や技量を磨き、資格を取れば食べる事には困らないかなと思います。

人のライフラインを支えているという自負も感じることができますし、手堅く充実感の得られる職業だと思います。

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