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ポートフォリオの著作権問題

2022.05.30

疑問を解決。
意匠設計の転職「ポートフォリオを作成する時の、掲載物件の著作権は?機密情報漏洩には当たらない?」

そのポートフォリオ、大丈夫?出典元のお話

これを読んでおられるみなさんは、意匠設計として企業に所属しながら働かれてきた方が大多数だと思われます。よって、当然いち社員として物件に携わってきたはずです。

意匠設計が転職を考える時、必携となるのがポートフォリオ。転職活動用のポートフォリオには自分が手掛けてきた物件を載せることになりますが、ふと、こんな疑問が浮かぶことがあろうかと思います。

「この物件って、勝手に使っていいのかな?」

結論から申し上げますと、

“使用可能ではあるが、完全に潔白ではないと心得よ”。

物件にかかわる秘密情報保持と、著作権

通常、案件受注時に施主と企業間でNDA(秘密保持契約・機密保持契約)が結ばれます。これは、秘密事項を外部に漏洩しないと誓約するもので、企業はそれを遵守しなければなりません。

さらに、その企業の社員として働いていたということは、あなた自身にも守秘義務が生じています。一般的には守秘義務は通常公務員や弁護士などにかかると認識されている義務ですが、社則で定められているところも多く、仮にそのように明示されていなかったとしても、その企業に所属している社員であった以上、業務上知り得た機密情報は他に漏らすことはあってはなりません。

以上のことから、当然の結論ではありますが、関わった物件の詳細を外部に漏らすことは禁じられてます。従業員が秘密を漏洩したことで、不正競争防止法違反の疑いで逮捕された凡例などは過去にいくつも存在します。

また、あなた自身の手で意匠設計を手掛けた物件だったとしても、その著作権はあくまで企業が保有しています。

…と、小難しくもの脅しのような文を書き連ねましたが、ここでようやく先ほどの疑問に立ち返りましょう。

「やっぱり転職用のポートフォリオには、前職(現職)の物件を載せてはいけないんじゃないの?」

ここまでの説明を読むと、そのように思われるのではないでしょうか。

個人目的であれば問題ないと考えてよい

しかし冒頭でも述べましたが、実際のところ、世間的には「セーフ」とされています。

転職のポートフォリオに物件を載せること、イコール機密情報漏洩に該当するかというと、必ずしもそうではありません。

ネットで不特定多数相手に公開するわけでもないですし、商用に利用する目的でもありません。あくまで面接選考時に個人目的として使用する程度のことであれば、まず問題視されることはないと言っていいでしょう。

ただ、面接を受けた企業から絶対に情報が漏れないとも言い切れませんから、取り扱いには充分注意を払う必要があります。

まずは秘密を守られるべき作品であるという大前提を念頭に置きつつ、あくまで常識の範囲内であれば、自身のポートフォリオに使用することは可能と考えて大丈夫です。

プロジェクトでこだわった部分や注目してほしい箇所などの説明を添えて、魅力的な転職用ポートフォリオを作成しましょう。自分をアピールする名刺代わりのような存在ですから、建築に留まらないあなたの趣味や特技なども盛り込んで魅力的な資料を作りましょう。

また、その際には必ず、物件名とともに発注元と当時所属していた企業名(転職して複数社経験がある場合)は記しましょう。

応募先の企業に提出する際は、ポートフォリオの取り扱いに注意してもらう旨を添えると、危機管理意識の高さを評価されることもありますし、一石二鳥と言えます。

疑問があれば転職設計事務所に何でもご相談を

ポートフォリオに書き方に関してはこちらの記事も参考になるかと思います。<意匠設計ポートフォリオの手引き

ほか疑問・質問、なんでも分からないことがあればどんどんお訊きください。転職設計事務所のコンサルタントから懇切丁寧にアドバイスさせていただきます。また、応募先企業からの要望など聞き取ってお伝えすることが可能です。「志望の企業が見たい部分」に重きを置いて作成することができます。

おひとり悩むことなく、プロの意見を利用しながらよりよいポートフォリオを仕上げ、あなたの人生を豊かにするための転職活動に臨みましょう。

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